無意識に同じ音楽を聴いていたり、毎回定位置の席に座りたくなったりするのは、「一貫性の法則」という心理により引き起こされています。
一貫性の法則は行動の動機付けにもなるので、性質を理解すればビジネスにおいても応用が可能です。
今回はビジネスで応用するために、一貫性の法則の特徴や活用方法についてご紹介していきましょう。
目次
一貫性の法則を理解しよう

一貫性の法則とは?
一貫性の法則とは、自分の態度や行動、発言したことを前回同様に貫きたいという気持ちから一様な行動を取る法則です。
例えば、お金を出して見た映画が面白くなかったとしても最後まで見てしまう、同じ週刊誌を毎回買っているなど、
無意識の中で同じ物事を選択する行動は一貫性の法則から起きています。
なぜ一貫性の法則が生まれるのか?
一貫性の法則が生まれる理由は、選択を減らすことや社会的な価値が高くなるからです。
日常では着る服や食べるものなど様々な場面で選択を迫られますが、重大な問題ではない選択がほとんどです。
些細な問題に対しては、一貫性の法則により無意識に「この時はこうする」とパターン化され、選択する機会が減っていきます
難しく考えず行動できるので、一貫性のパターンは非常に楽な考え方と言えるでしょう。
一貫性のない人は優柔不断、気まぐれなど良くない印象に見られがちです。
逆に一貫した行動が取れる人は、発言と行動に矛盾が生じないので理論的で誠実、信頼できると高い評価が得られます。
社会的な価値を高めようと無意識に一貫性の法則が発動されるのです。
マーケティングに一貫性の法則を活用する際のポイント

過去の一貫性と矛盾が出ないようにする
マーケティングで一貫性の法則を活用する場合は、過去の一貫性と矛盾が出ないようにすることがポイントです。
過去の一貫性と矛盾が生じた時点で、一貫性は失われてしまいます。
営業では発言と矛盾しないように行動を誘導しなければならず、商品に興味を持ってもらえなければ売れることはないでしょう。
まずは相手が肯定しやすい質問を行い、商品の紹介につなげていく流れが必要となります。
例えば、ダイエット食品なら「ダイエットをしたいと思っている?」という質問から「楽な方法なら試してみたい?」という流れに持っていき、楽をして痩せられる商品の紹介と誘導が可能です。
「楽をして痩せる」と発言しているのに、「楽ではないけど」と矛盾してしまうと一貫性が失われ、消費者ニーズとも一致しないので訴求力は下がってしまいます。
公共性を高める
一貫性は大小問わず発動するものであり、特に他人に発言すると一貫性の行動は強くなる性質を持ちます。
他人に向けて宣言した方が一貫性の法則に対する制約が強化されるので、有言実行の効力を高められるのです。
例えば、結婚式では夫婦が誓いの言葉を告げますが、将来にわたって一貫な行動を実行するために公益性を高めています。
セミナーや企業研修で目標を発表させる行動が行われる理由には、公共性を高めて一貫性の法則を強化する狙いがあるためです。
実際、社員に目標を記載させて社員の誰もが見られる位置に貼ったところ、目標達成のために一貫した行動を取るようになり、成果を出した事例も存在します。
ハードルの低いものから実践していく
いきなり高額な商品といったハードルの高いものは、一貫性の法則を用いても上手く行かないので、ハードルの低いものから実践していきましょう。
ハードルの低いものとは、顧客のニーズに適している上で安価な価格設定の商品です。
顧客のニーズに合っていなければ興味は惹かれませんし、高額だと興味があっても手が出せず購入につながらない可能性があります。
特に売り込みたい商品と合わせて関連商品を売る場合は、最初のハードル設定が重要と言えます。
大きなものを購入する場合、関連商品を同時に購入することに躊躇する顧客は多く、なかなか購入につながりません。
しかし、最初の購入でハードルを下げられれば、追加購入の確率を高めることができます。
追加購入のハードルを下げる時も一貫性の法則を用いた誘導が求められます。
例えば、車の販売で質問を投げかけた時に「大きい車がいい」と顧客が肯定した場合は矛盾しないように大型車を紹介します。
逆に「小さい方がいい」と発言した場合は、小型車を紹介しましょう。
購入が決まった場合、さらに購入した車の関連商品を自然な流れで勧めれば、効率良く販売の機会を与えられ売上のアップにつなげられます。
勧める関連商品は一緒に買うことで価格以上のお得感を与えられるものだと、顧客に満足感を高められるのです。
アンケート・試供品配布を取り入れる
アンケートや試供品の配布は一貫性の法則を働かせることができます。
ニーズに合った商品を売り込むためには、顧客に悩みや要望を把握しなければなりません。
アンケートなら「はい」や「いいえ」とシンプルな回答から消費者ニーズを把握でき、結果に応じて最適な商品紹介ができます。
例えば、化粧品なら肌やメイクのお悩みアンケート・診断を通じて、結果に合わせておすすめの商品を紹介することが可能です。
また、試供品の配布は気軽に手に取ってもらえるので、再度利用してもらえる可能性が高くなります。
人は一度行動して立場が決まると、一貫した行動を持続したい傾向になるので、顧客の負担になりにくいアンケートや試供品の配布は一貫性の法則を上手く働かせられるのです。
コレクション精神を刺激し、一貫性の法則を生み出そう

ツァイガルニック効果
収集癖も一貫性の法則から起こされているので、コレクション精神を刺激すると良いでしょ言う。
コレクション精神を刺激する方法の1つがツァイガルニック効果です。
ツァイガルニック効果とは、達成済みの課題よりも未達成な課題の方が印象に残りやすいという考えから提唱された心理効果になります。
コレクションで言えば、全て揃ったものよりも収集途中のものの方が気になってしまい、コレクションを完成させようと刺激を受けるのです。
ビジネスで活用するのであれば、続かないという悩みを解消する商品を紹介することで、購入意欲を高められます。
サンクコスト効果
サンクコスト効果は投資したお金や時間、労力を無駄にしたくないために、後に引けず継続してしまう心理効果です。
コレクションの収集は集めれば集めるほどお金を使いますが、その分愛着も大きくなるので、サンクコスト効果が発揮されて収集の中断が難しくなる性質を持ちます。
ビジネスでは次回の割引クーポンや一定金額で送料無料といった施策を講じれば、「使わないともったいない」と気持ちを引き出して利用してもらいやすくなります。
バンドワゴン効果
バンドワゴン効果は流行りに乗っかって購入してしまう心理現象です。
行列ができるお店に並んでしまったり、「一番人気」や「今売れている」といったポップに惹かれたりする原因はバンドワゴン効果によって起こされています。
「皆と同じ」という安心感から同じものを購入しようとコレクション精神が刺激されるのです。
マーケティング・営業では、リピーターの数の掲載や愛用している芸能人などを活用すると同様の効果を得られます。
スノッブ効果
バンドワゴン効果とは逆に、他人と違うものを手にしたいという心理がスノッブ効果です。
限定品やプレミアム品が魅力的に感じる理由はスノッブ効果によるものなので、希少性を高める施策を打ち出せれば購入を促すことができます。
ただし、周りが同じ商品を持っていたり、流行ったりすると需要が減るので注意しましょう。
まとめ
一貫性の法則は有名企業も活用している、マーケティングや営業で効果の高い心理学です。
人間は無意識に一貫性のある行動を取る傾向があるので、その働きを刺激するような施策を講じれば商品の購入やサービスの利用を促すことができます。
また、コレクター精神を刺激することでリピーターを付けることも可能です。
より売上を伸ばしたいと悩んでいる方は、マーケティングや営業に一貫性の法則を活用してみましょう。